独断　ブックレビュー

鉄道風景30題　─過ぎ去ったときを再現する─ 河田　耕一 機芸出版社
青春のアルバム　豊橋鉄道　田口線 小早川　秀樹 　
国鉄鋼製客車史　第4篇　上巻　オハ35形の一族 三橋・葛・藤本 車両史編さん会
新幹線不思議読本 梅原　淳 朝日新聞社
能勢電むかしばなし 岡本 弥，高間 恒雄 ネコ・パブ
ローカル線ガールズ 嶋田　郁美 メディアファクトリー
週刊東洋経済　2008/4/19号　　特集：鉄道革命 　 東洋経済新報社

　		 NHK　趣味悠々
　鉄道模型でつくる思い出の風景　　Nゲージ・レイアウト制作入門		 講師：諸星昭弘 日本放送出版協会
写真でつづる　静岡鉄道駿遠線　─日本一の軽便鉄道─ 阿形　昭 静岡新聞社
満員電車がなくなる日　鉄道イノベーションが日本を救う 阿部　等 角川SSC新書

　		 鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション14
　国鉄の気動車　1960		 鉄道図書刊行会
今は昔　しずおか懐かし鉄道　（静新新書002） 静岡新聞社　編 静岡新聞社
小さな小さな鉄道の旅　
　城北線　歴史歩き　春日井・清洲・名古屋		 大下　武 大巧社
北陸線写真帖　─機関車　駅舎　鉄道マン 　 北國新聞社
鉄道員（ぽっぽや） 浅田　次郎 集英社文庫
キャンブックス　鉄道　81　幻の国鉄車両 岡田　秀樹 JTBパブリッシング
RM LIBRARY　99　西濃鉄道 清水　武 ネコ・パブ

　		 鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション13
　国鉄の気動車　1950		 鉄道図書刊行会
坂本衛の鉄道模型マル秘工作手帳 坂本　衛 山海堂
濱 勲 国鉄写真集　青春の軌跡 鉄道史資料保存会
猫の建築家 森　博嗣　（作）
佐久間真人（画）		 光文社

　		 NHK　趣味悠々
　　ようこそ！　鉄道模型の世界へ　～レイアウト制作入門～		 講師：諸星昭弘 日本放送出版協会
大阪環状線めぐり　ひと駅ひと物語 読売新聞社会部 東方出版
飯田線　百年ものがたり JR東海飯田支店 新葉社
RM LIBRARY　81　キハ08とその一族 岡田　誠一 ネコ・パブ
ひょうご　懐かしの鉄道　廃線ノスタルジー 神戸新聞総合出版センター
国鉄鋼製客車史　第2編　上巻　スハ32形の一族 三橋・葛・藤本 車両史編さん会
能登線日和　穴水─蛸島　名残りの鉄道情景 湯浅　啓 能登印刷出版部
鉄道ピクトリアル　2005年11月号　（No.768） 電気車研究会
ミニチュア庭園鉄道３ 森　博嗣 中央公論新社
日本の“珍々”踏切 伊藤博康 東邦出版
国鉄鋼製客車史　第1編　下巻　オハ31形の一族 三橋・葛・藤本 車両史編さん会
駅前旅館に泊まるローカル線の旅 大穂耕一郎 筑摩書房
阿房列車 内田百閒 筑摩書房
国鉄鋼製客車史　第1編　上巻　オハ31形の一族 三橋・葛・藤本 車両史編さん会
荷物車・郵便車の世界　昭和50年代のマニ・オユの記録 西橋・石橋 クリエイティブモア
SLが輝いた日々　釧網本線　1969─1973 藤　泰人 北海道新聞社
村木勝義写真集　二俣線の詩 村木勝義 静岡新聞社
村木勝義写真集　二俣線の詩　II 村木勝義 静岡新聞社

　		 蒸気機関車　保津峡〔それから30年〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　小菅一己小写真集　第一集		 小菅一巳
蒸気機関車　京都府南部編　小菅一己小写真集　第二集 小菅一巳
蒸気機関車　京都府北部編　小菅一己小写真集　第三集 小菅一巳
書名 鉄道風景30題
　─過ぎ去ったときを再現する─
著者名 河田　耕一
出版社 機芸出版社
発行 2008年11月1日　発行
価格 定価　本体2700円 + 税
　1974年に刊行された「シナリィ・ガイド」から34年の時を経て、新たに編まれた河田耕一さんの著書が本書「鉄道風景30題」です。私にとっては崇拝の対象とも言うべき河田さんの本なので、問答無用、速攻で買い求めました。
　「シナリィ・ガイド」では建造物に関する解説的な記事や細部写真が多かったのに対し、本書では1950年代から1970年代の雰囲気を伝える事に重点を置いた由。前著で見たことのある写真の再掲もありますが、その代わり(?)に著者の直筆によるスケッチ画が多数掲載されています。写真集にも関わらず使用されている紙がアート紙ではなく上質紙だったので少しがっかりしましたが、スケッチ画のためにはむしろこの方が相応しいのかもしれません。
　表紙の写真は、一見、異国の風景かと見まがいますが、和歌山線を行くC58の写真です。現在の我々がどんなに希望しても、もはや直接目にする事が出来ない風景がここにあります。本書は、「シナリィ・ガイド」の世界に新たに時間軸を付け加えたものと言えるのかもしれません。（2008/11/12記）
書名 青春のアルバム　豊橋鉄道　田口線
著者名 小早川　秀樹
出版社 　
発行 2006年12月吉日　発行
価格 2,800円（税込み）
　もう30年近くも前の話になりますが、自分で車を所有するようになって間もない頃のことです。奥三河の山中を駆け回り、里まで下りてきた時、川に架かる明らかに鉄道のものとわかる鉄橋を見つけました。車を降りて確認すると、鉄橋を渡ってその先にずっと廃線後が続いているではありませんか。清崎という地名と廃線跡はしっかり記憶に留めましたが、正体はわからずじまい。先輩から、それは田口鉄道だよと教えてもらったのはその何年か後のこと、その正体を知るのは更に後年、白井良和氏の著書に接してからのことでした。
　本書は、著者の小早川氏が相当の精力を傾け、6年間の歳月をかけて制作されたもので、田口線のあらゆる情報がかき集められているような印象。写真の他にCAD図面も多数掲載されており、高い資料性があります。また、中学生の時の友人との出会い、豊橋鉄道田口線との出会いから紐解かれており、田口線を縦糸に、著者ご自身の人生や交友関係を横糸に織り上げた、まさしく青春のアルバムに相応しい内容にもなっています。
　残念ながら、この本は普通の書店では入手できないようで、私はYAMA模型さんに注文して入手することができました。（2008/9/27記）
書名 国鉄鋼製客車史　第4篇　上巻
　オハ35形（スハ33650）の一族
　　長形台枠、丸屋根の客車
著者名 藤本　邦彦
出版社 発行：車両史編さん会
発行 2008年6月1日　発行
価格 本体価格　\10,000
　いつも通りの充実した内容で、写真や図面が、これでもかっ！というくらい豊富に掲載されています。
　今回はいわゆるオハ35系の戦前形。所収の形式は、スイテ49，スイテ37，マイロネフ38，オロ36，オロ40，オロフ33，スロハ32，オハ35，オハフ33，スシ38，スハユ31，スハニ32，マニ32の13形式。特にオロ40やオハ35の長柱車（張り上げ屋根の車）のバラエティは圧巻で、その構造図などもしっかり掲載されています。同じく張り上げ屋根のマニ32などはなかなかスマートな外観で、つい製作意欲が刺激されてしまうかもしれません。
　蛇足ではありますが、このあと、2008年11月には続編である中巻が発行される予定。先行予約・早期申込ということで、7月30日（あと3日しかない･･･）までに注文すると割引価格が適用されるようですので、この際、購入を検討されては如何でしょう。
　⇒　http://homepage2.nifty.com/hensankai/　
（2008/7/27記）
書名 新幹線不思議読本
著者名 梅原　淳
出版社 朝日文庫（朝日新聞社）
印刷発行 2007年4月30日　第１刷発行
価格 定価　本体800円 + 税
　本書は、2002年に東京堂出版より発行された『新幹線の謎と不思議』を底本に加筆修正を加えて改題し、文庫本としたもの。文庫本とはいえ、400ページを超える大著です。
　90を超える各項のほとんどに「○○の謎」，「△△の不思議」というタイトルが付されていて、少々鼻につきますが、数多くの記録を当たって情報や数字を丹念に集められている点など、大いに評価できる内容と言えるでしょう。
　ただ、その情報や数字からパッと結論が出てくるような傾向が見られ、もう少し掘り下げがあっても良いのではないか？　何だか出汁の効いていない料理を食べたような感じが残ります。鉄ピク誌'08/8月号の書評欄で、この著者の他の著作について、和久田康雄氏がやや辛口な指摘をしておられますが、なるほど、そりゃそうかも知れないな、と思わないでもありません。
　一般人向けにはやや固い（細かい？）内容かもしれず、位置付けとしては、鉄ちゃん向けの雑学本といったところでしょうか？　（2008/6/22記）
書名 能勢電むかしばなし
著者名 岡本　弥，高間　恒雄
出版社 （株）ネコ・パブリッシング
印刷発行 2008年5月1日　初版発行
価格 定価　本体1000円 + 税
　幼稚園の遠足で能勢の妙見山に栗拾いに行きました。幼稚園児の私にとって、猪名川を渡る鼓滝の鉄橋は目も眩むような高さがあり、とっても怖かった･･･という記憶が鮮明に残っています。これは、“物ごころ”がついてはいても、まだ“鉄ごころ”が芽生える以前のお話。“鉄ごころ”がついてからは、2～3回ほど写真を撮っていますが、いずれも320形の時代でした。
　本書にはそれ以前の能勢電の写真や形式図が満載です。懐かしい小型電車の姿がたくさん載っているので、ついつい手が伸びてしまった次第。あの時代の空気の香りを、胸いっぱい吸い込めるような気が致します。（2008/5/30記）
書名 ローカル線ガールズ
著者名 嶋田　郁美
出版社 メディアファクトリー
印刷発行 2008年4月4日　（初版第4刷）
価格 定価　本体952円　（税別）
　二度の大事故と廃線から奇跡的に甦った「えちぜん鉄道」ですが、業績は比較的好調に推移しているようです。その一翼を担っているのが、新しく設けられた「アテンダント」職の女性たち。その活躍ぶりが、数多くの写真と平易な解りやすい文章で綴られています。
　乗客へのもてなしの心，目配り・気配り，笑顔･･･なるほどなるほど、アテンダントの皆さん、苦労してるんだな、頑張ってるんだなということがよく解る内容になっています。
　本の中味としては全編前向きのいい話ばかりなのですが、しかし、この表紙の写真のテキ6から、3年程前に福井口の車庫を訪ねた時のちょっと苦々しい思い出が甦ってきました。事務所で写真を撮らせて欲しいと来意を伝え、書類（誓約書？）に住所氏名を記入するなどしっかり手続きを済ませて許可を得たのですが、最後に手渡された入場許可区域を示す地図は、実質的にほとんど立入り禁止に等しいものだった･･･というお粗末な話。実は態良く断られていたんですねぇ。テキ6との面会は叶いませんでした。
　安全は第一、国交省の監督の目が特に厳しかったのかもしれませんが、いささか本書の中味との間にギャップを感じた次第。乗客と同様、鉄道ファンも大事にしつつ、今後も発展を続けて戴きたいものです。（2008/5/11記）
書名 週刊東洋経済　2008/4/19号
　　特集：鉄道革命
著者名 　
出版社 東洋経済新報社
印刷発行 2008年4月19日
価格 定価　670円　（本体 638円）
　週刊東洋経済の今週号は特大号で、鉄道に関する情報が大きく扱われていたので買ってみました。
　環境問題、昨今の資源高騰、都市交通の諸問題への解決策として、競争に敗れ去った筈である鉄道の復権（モーダルシフト）が世界の各地で進みつつあるとの趣旨で、鉄道にまつわる話題を多面的に取り上げています。
1.陸海空を制圧！　世界で起きるモーダルシフト
2.高速鉄道を獲得せよ！　国際レール争奪戦の衝撃
3.もうクルマはいらない　都市交通の主役が鉄道に替わる
4.地方鉄道が震源地　過熱する鉄道ブームの現場
　世界各国の交通事情から、ビジネスの世界の動向、地方鉄道の生き残り策、果てはNゲージの隆盛まで、非常に幅広く情報が集められていますので、興味がある方には御一読をお奨めします。　（2008/4/20記）
書名 NHK　趣味悠々
　　鉄道模型でつくる思い出の風景
　　　Nゲージ・レイアウト制作入門
著者名 講師：諸星昭弘
出版社 日本放送出版協会
印刷発行 2008年4月1日
価格 定価　1050円　（本体 1000円）
　今年もNHK教育テレビの番組「趣味悠々」の放送が始まりました。
　昨年と同様、講師は諸星昭弘さん、生徒＆進行役は三波豊和さんです。本のタイトルにも表れているように、今年はより強くレイアウトを指向した内容になっているようで、昨年のテキストをベースにしながらも、全面的にリメイクされています。放送は3月31日から5月26日までの毎週月曜日、回数が昨年より増えて合計9回となり（再放送もあり）、それに伴ってテキストも若干増量されています。（価格は据え置きなので、ちょっとお得かも･･･）
　この際、このテキストと番組に背中を押してもらって、レイアウトの世界に飛び込んでみることに致しませんか？　（2008/4/20記）
書名 写真でつづる　静岡鉄道駿遠線
　　　　─日本一の軽便鉄道─
著者名 阿形　昭
発売元 静岡新聞社
発行 2006年9月15日
価格 定価　2800円＋税
　『昭和23年、中遠鉄道（袋井-新三俣）と藤相鉄道（大手-新藤枝-地頭方）がつながり、静岡鉄道駿遠線が誕生しました。遠州灘や駿河湾に沿って、ぐるっと迂回するように袋井と藤枝の間を結んだ、当時日本一長かった軽便鉄道です。
　袋井から藤枝まで64.6kmもある静岡鉄道駿遠線を写真で紹介するのがこの本です。
　車両や駅舎だけではなく、その背景には当時の景色や人々が写っています。当時の様子が、写真にしっかりと記録されています。
　写真をながめて、懐かしい気持ちになる人もいるでしょう。変わってしまった風景に、過ぎ去った時の長さを感じる人もいるでしょう。また、この地域に軽便鉄道が走っていたことを知り、驚く人もいるかもしれません。
　全線廃止から36年。郷土の歴史であり、懐かしい思い出でもある駿遠線を、ずっとずっと語り継いでゆきたいものです。』･･･以上、本書『はじめに』より　　（2008/4/11記）
書名 満員電車がなくなる日
　鉄道イノベーションが日本を救う
著者名 阿部　等
出版社 角川SSコミュニケーションズ
発行 2008年2月28日
価格 定価　760円＋税
　著者は、JR東日本に17年勤め、現在、交通コンサルタントとして活躍されている方。多くの人達が諦めてしまっている、あるいは考える事自体を止めてしまっている「満員電車」という問題に対して、これを真正面から見据え、分析し、解決策を大胆に提言しています。
　「満員電車の歴史は運賃抑制の歴史」，「座席と立ち席にそれぞれの値付けをすべき」，輸送力を画期的に高めるための「信号システム」，「総２階建て車両」，「３線運行」など、新鮮な発想がてんこ盛りで、都会の生活者にとっては、注目すべき提言と申せましょう。
　著者は鉄道業界の方なので当然かもしれませんが、自動車交通関係の議論には、やや違和感を感じる部分もありました。しかし全体を通じて見れば、まあこれは取るに足らないこと。これらの提言がきっかけとなり、世の中で真剣かつ具体的な検討が加えられて、実現に向けた一歩が踏み出されることを望みます。　（2008/4/6記）
書名 鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション14
　国鉄の気動車　1960
著者名 　
出版社 鉄道図書刊行会
発行 平成20年3月10日
価格 定価　1400円（本体1333円）
　先にご紹介したアーカイブスセレクションのNo.13に続き、No.14「国鉄の気動車 1960」が刊行されました。
　内容は期待通り、国鉄気動車の全盛時代に照準を合わせたもの。我々が若かりし頃に見慣れた「クリーム色+朱色」が多数の写真で紹介され、また、当時の解説記事も盛りだくさんです。
巻頭企画：DMH17系ディーゼルエンジン　他
Ｉ　気動車の多彩な展開
ＩＩ　生まれ変わるディーゼル動車
ＩＩＩ　房総地区の気動車事情
IV　買収気動車めぐり
おまけ：1962年版　国鉄動力車配置表
　ただ誠に残念なことですが、No.13の巻頭を対談で飾られた西尾源太郎さんが、その後、昨年12月に亡くなられた由。ご冥福をお祈りいたします。　（2008/3/9記）
書名 今は昔　しずおか懐かし鉄道　（静新新書002）
著者名 静岡新聞社　編
出版社 静岡新聞社
発行 2006年6月16日　第１版発行
価格 定価　本体819円 + 税
　また例によって、地方新聞社が発行する鉄道関係図書をご紹介します。
　この本は、静岡新聞に「鉄道物語」として昭和55年に連載された記事をまとめた単行本（昭和56年刊）から、既に廃止になった鉄道を中心に抜粋し、一部書下ろしを加えて再構成したもの。今となっては懐かしいとも言えないほど古い鉄道ばかりですが、地元にお住まいの方にとっては興味深い話が発見できるかもしれません。
　紹介されているのは、以下の15路線です。豆相人車鉄道，富士馬車鉄道，御殿場馬車鉄道，南豆馬車鉄道，堀之内軌道，中ノ町線，安倍鉄道，藤相線，奥山線，光明電鉄，庵原軽便鉄道，蛇松線，清水港線，静鉄静岡線，遠鉄西鹿島線
　静岡トレインフェスタの折り、この本を片手に名残りの地を探訪してみるのも御一興でしょう。　（2008/3/9記）
書名 小さな小さな鉄道の旅　
　城北線　歴史歩き　春日井・清洲・名古屋
著者名 大下　武
出版社 大巧社
発行 2007年6月10日　第１版第１刷発行
価格 定価　本体1,200円 + 税
　著者の大下さんは、元県立高校の先生で、現在、春日井市教育委員会文化財専門員。歴史や考古学がご専門の方です。以下、本書のあとがきより･･･
　「（古代史にテーマを求めたシンポジウムの資料を作成するための）取材で気付いたのはローカル線の斜陽ぶりである。･･･中略･･･地元の「城北線」だが、ここ何回かの乗車経験でいえば、乗客は少ない。･･･中略･･･何とか頑張って欲しいが、用のない人を乗せるわけにもいかない。･･･中略･･･いささかでも「目的」を作って乗ってもらうしかない。城北線全線で駅の数は６つだが、各駅の近辺に、１つや２つみるべきところはあるはずである。それを探し出して案内書をつくれば、中には一度くらい乗ってみるかという人が出てこないとも限らない。これが本書執筆の動機だが、誰に頼まれたわけでもないから、おせっかいな話ではある。･･･後略･･･」
　この界隈に神社仏閣のみならず古墳群があるなんて、全く知りませんでした。暖かくなってきたら、この本を片手に乗り歩きに出てみようかな？と思う今日この頃です。　（2008/3/2記）
書名 北陸線写真帖　─機関車　駅舎　鉄道マン
著者名 　
出版社 北國新聞社
発行 2007年12月5日　第１版第１刷発行
価格 定価　本体4,000円 + 税
　北國新聞社は金沢の香林坊に拠点を置く新聞社。その金沢まで鉄道が到達したのが明治31年4月1日、まもなく開業110周年なのだそうです。
　この写真集は、北國新聞社が所蔵するフィルムを中心に、旧国鉄・JR関係者、鉄道愛好家（テッちゃん）の協力を仰いでまとめ上げたもの。時間軸としては蒸機時代から交流電化を経て現在に至るまで、また空間的には金沢・富山が中心とはいえ、北陸本線全線・能登半島・大糸線・神岡鉄道など広域にわたり、更にはトンネル開通などのエポックや災害・事故の記録も丹念に収録されていて、なかなか厚みのある内容に仕上がっています。航空写真のように非常に高いアングルからとらえた写真が散見されるのも、さすがは新聞社だなぁと思います。
　さぁて、金沢と言えば、一度ハントンライスなるものを食べに行かなくっちゃ･･･。　（2008/2/23記）
書名 鉄道員（ぽっぽや）
著者名 浅田　次郎
出版社 集英社（集英社文庫）
発行 2007年6月6日　第2１刷発行
価格 定価　本体476円 + 税
　自分は元々、流行というようなものには関心がなく、むしろ背中を向けているタイプです。
　この本が直木賞受賞作として書店に並んだのは10年ほど前。「鉄道員」と書いて「ぽっぽや」とルビをふってあるのがわざとらしい気がして、手には取りませんでした。映画化されたときも、キハ40を改造したキハ12があまりに悲惨なスタイルをしていたので、見には行きませんでした。
　最近、書店に出かけた折りに探していた本が見つからず、代わりに求めて帰ったのがこの本だったのですが、これまでの自分の姿勢が誤りだったと悟ったのはその直後。何で今まで知らん振りをしていたのか、とても悔やまれました。
　鉄道員（ぽっぽや），ラブ・レター，悪魔，角筈にて，伽羅，うらぼんえ，ろくでなしのサンタ，オリオン座からの招待状。いずれも奇蹟をモチーフにした感動の短編、今さら言うのも気が引けますが、掛け値なしの名作です。　（2008/2/9記）
書名 キャンブックス　鉄道　81
　幻の国鉄車両
著者名 企画プロデュース　岡田　秀樹
出版社 JTBパブリッシング
発行 2007年11月1日　初版発行
価格 定価　本体2300円 （税別）
　スーパーレールカーゴが登場したとき、企画プロデューサである岡田さんの脳裏に、かつて幻に終わった新幹線貨物輸送計画が鮮やかに蘇ったという。それが本書の企画の出発点になったのだそうです。
　右の表紙写真にも見えるように、執筆者には斯界の著名な方々を据え、実に盛り沢山。国鉄の、機関車から客車まで、貨車を除く全領域の車両が網羅されていて、読み応えのある内容になっています。
　幻の気動車の項では、どうしてキハユニ48000，キユニ48100がもれているのだろう？と思う反面、2軸のキクユニ計画図等はなかなかの出色と申しましょうか、ムムムと唸らずには居られませんでした。
　いずれにしましても、フリーランスモデルが大好きな私にとって、これは恰好のネタ本。多くの鉄道ファンの皆様にも、教養本・雑学本として大いにお奨めの一冊です。ページオーバーのため見送りとなった貨車と私鉄車両については、続編の発刊を待つことに致しましょう。　（2007/12/8記）
書名 RM LIBRARY　99
　西濃鉄道
著者名 清水　武
出版社 （株）ネコ・パブリッシング
発行 2007年11月1日　初版発行
価格 定価　本体 1000円 + 税
　東海道本線の支線の終点、美濃赤坂駅から先に延びる貨物専業の鉄道会社、西濃鉄道を、その歴史・路線・車輌・運転の全てが詳細に解説されています。
　開業後、間もない昭和5年には、国鉄の大垣からキハニ5000の乗り入れによる旅客運転が行われたとのこと。あの国鉄気動車の元祖キハニ5000なんですね。
　戦時中の燃料統制で、旅客輸送は廃止されてしまいましたが、未だに貨物輸送が行われている貴重な路線。テム300をはじめ、多くの貨車に美濃赤坂駅常備と標記されていた美濃赤坂ってどんなところだろうと思いつつ、迂闊にもまだ一度も訪ねた事がありませんでした。本書により詳細情報を得たこの機会にぜひ訪問してみたいものだと思います。　（2007/11/25記）
書名 鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション13
　国鉄の気動車　1950
著者名 　
出版社 鉄道図書刊行会
発行 平成19年11月10日
価格 定価　1400円（本体1333円）
　5年前の2002年9月からスタートした鉄ピクのアーカイブスセレクションのシリーズですが、その13冊目は「国鉄の気動車 1950」です。
　戦後の国鉄気動車の開発期をテーマとして、1950年代を中心に鉄道ピクトリアル・電気車の科学に掲載された記事の中から記録性の高いものを選んで構成したもので、当時、国鉄部内で活躍された西尾源太郎さんの対談を巻頭に掲げ、読み応えのある奥深い内容の仕上がり。戦前・戦後の気動車の黎明期から、キハ45000系を中心にキハ60の登場までをカバーしており、私としては、今後何かと便利な座右の資料としておおいに活用できそうな気がしています。
　右の表紙写真のように、「クリーム色+青」の旧塗色や「クリーム色+赤帯」の準急色が主体で、我々が見慣れた「クリーム色+朱色」の気動車はまだ登場しませんが、これは今後、続編の刊行に期待する事に致しましょう。　（2007/11/25記）
書名 坂本衛の鉄道模型マル秘工作手帳
著者名 坂本　衛
出版社 山海堂
印刷発行 2001年12月20日印刷　12月30日発行
価格 定価　（本体2000円+税）
　一見するとコクヨのノートみたいな、奇抜な装丁の本です。
　ずいぶん以前に出版されていましたが、最近入手し、改めて読んでみました。
　内容としては、キューロクなどの自作蒸機や摂津鉄道など、ハイレベルなもの。それを初心者にも取っ付き易く手ほどきしようというのが坂本さんのスタンスです。これまでにTMS誌上に掲載された著者の記事が下敷きになっていますので、それらをほとんど読んでしまっている私にとっては、それ程の新鮮さはありませんでしたが、坂本さんのお人柄が滲み出るような軽妙な文章になっているのが、TMSの記事には無かったこの本の最大の魅力でしょう。
　また、TMSのあちこちに散在している坂本さんの作品・技法・実物情報がこの一冊に集約されているのもありがたさの一つだと思います。　（2007/11/25記）
書名 濱 勲 国鉄写真集　青春の軌跡
著者名 鉄道史資料保存会　編
出版社 鉄道史資料保存会
印刷発行 2007年8月1日
価格 定価　4000円　（税込）
　昨年3月に亡くなられた濱勲さんの遺作。昭和28年頃から約20年間、作者の青春時代・国鉄の黄金時代を捉えた写真集です。
　全てモノクロ作品ですが、東海道本線を自由に往来するC59・C62の姿や、EF58が牽く「さくら」・「はと」などの特急が勢揃いする大阪駅の風景などは圧巻であり、もしこれに色が付いていれば、我々が子供の頃に見た絵本の図柄そのものと言えるでしょう。
　関西方面・東海道筋だけではなく、九州・四国・山陰・山陽・東北・北海道など、日本全国の鉄道風景があまねく残されており、またその他に、旧型客車や旧型国電の形式写真も丹念に記録されているなど、資料性の高い写真集でもあります。
　尚、余談ですが、永年、出版を続けてこられた鉄道史資料保存会が、関係者の高齢化のためにまもなく活動を終えられるとのこと。私自身は、模型作りのための図面情報でたいへんお世話になりました。感謝！　（2007/10/13記）
書名 猫の建築家
著者名 森　博嗣（作）　佐久間真人（画）
出版社 光文社
印刷発行 2006年12月20日
価格 定価　本体 619円 + 税
　読み終えたというよりは、一通りざっと眺めただけです。
　作者はいつぞやご紹介したミニチュア庭園鉄道のオーナーの方ですが、あいにく文章の方は、訳のわからない言葉が並んでいるだけで、いったい何が言いたいのか、読者に何を伝えたいのか、さっぱり解りませんでした。只、挿絵がなかなか良くて、つい衝動買いしてしまっただけなのです。
　全てのページがカラーで、何となく鉄道に関係のありそうな味わいの深い情景画が合計33枚。この本の値打ちは、これらの挿絵にのみある、と言っても決して過言ではありません。　（2007/3/31記）
書名 NHK　趣味悠々
　　ようこそ！　鉄道模型の世界へ
　　　～レイアウト制作入門～
著者名 講師：諸星昭弘
出版社 日本放送出版協会
印刷発行 2007年2月1日
価格 定価　1050円　（本体 1000円）
　この本はNHK教育テレビの番組「趣味悠々」のテキストです。
　放送は、2月7日から3月28日までの毎週水曜日、合計8回（再放送も8回）。イラストレータ・模型作家の諸星昭弘さんが講師で、三波春夫さんの息子の三波豊和さん生徒＆進行役です。
　これまでのところ、一応毎週欠かさずに見ていますが、鉄道模型もずいぶんメジャーになってきたのだなと感じます。今やガーデニングや油絵・写経などと同列なんですから･･･。
　ともあれこのテキスト本は、放送内容がほぼ網羅され充実している上に、こなれた価格。諸星さんのレイアウト製作技法がぎっしり詰まっていますし、大野雅志さんや宮下洋一さんら著名な模型人のレイアウトも紹介されていますので、間違いなくお得な一冊と言えましょう。　（2007/3/20記）
書名 大阪環状線めぐり　ひと駅ひと物語
著者名 読売新聞大阪本社社会部
出版社 東方出版（株）
印刷発行 2003年5月20日
価格 定価　本体 1500円 + 税
　東方出版は、大阪を拠点にして、なにわの歴史や文化を丹念に発信し続ける地道な出版社です。この本もその一環なのでしょう、大阪環状線の各駅をめぐりながら、その周辺の街や人を紹介しています。
　内容は読売新聞の大阪版に連載された記事をひとまとめにしたもので、あくまでも一般人向け。鉄道ファンやマニア向けではないので、我々としてはどうしても物足りなく感じざるを得ないでしょう。あえて評価をすれば、★★☆☆☆くらいかな？　
　JR西日本が福知山線を起こす前に出版された本なので、もちろんそれに触れるような記述は一切なく、平穏な内容です。
　ともあれ、東半分の城東線と西側の西成線が結ばれて、文字通りの大阪環状線になったのが、昭和36年4月。意外に新しい路線なのだと知ることができました。　（2007/3/3記）
書名 飯田線　百年ものがたり
監修 東海旅客鉄道株式会社飯田支店
出版社 （株）新葉社
印刷発行 2005年12月
価格 定価　本体 4500円 + 税
　この独断ブックレビューでは、地方の新聞社や出版社の書籍を度々ご紹介しています。100万部突破のベストセラーもいいけれど、滅多に書店に並ぶことのない書物の中にだって何か掘り出し物があるかもしれません。自然保護活動の中でも、多様性を守る事の大切さが叫ばれていますが、人間の営みである文化においても同じ事。多様性は維持されなければなりません。そういう意味で、私は彼らにエールを送りたいと思います。
　さて、前置きが長くなってしまいましたが、新葉社は長野県飯田市に居を構える地方出版社。今回はその力作をご紹介します。
　A4版170頁ほどの比較的大きな本ですが、はっきり言って冒頭十数頁のカラー写真は鮮明さや発色が良くなくてちょっと冴えません。しかしながら、この本の真骨頂は、開通から今日に至るまで、飯田線の歴史を遡って丹念に拾い集めた事実と数多くのエピソードにあります。
　何年か前に写真を撮るために天竜峡駅から川路駅まで歩いた事がありますが、川路駅周辺は何かだだっ広くって違和感のある風景でした。それがこの本によると、なるほど、あれは昭和36年の災害の跡だったのか、と思い当たります。
　これはホンの一例ですが、かつて旧国を追ってこの地を訪ねた方々も、今一度この本を手にとってみられては如何でしょう？　何か新しい発見があるかも知れませんよ。　（2006/10/9記）
書名 RM LIBRARY　81
　キハ08とその一族
著者名 岡田　誠一
出版社 （株）ネコ・パブリッシング
発行 2006年5月1日　初版発行
価格 定価　本体 1000円 + 税
　このタイトルを見たら買わない訳にはいかない･･･少なくとも私にとってはそうでした。そしてすぐに名古屋の早川模型さんに買出しに出たのですが、残念ながら既に売り切れ。早川のおばさん曰く、「ごめんねぇ･･･このシリーズは売れないのはいつまでも残っとるけど、売れるのはすぐになくなっちまうでいかんわ。いつも同じだけ仕入れとるんだけど･･･」　なかなか売れ行きは良いようです。
　仕方なく、このページの上のe-hon経由で取り寄せて、何とかゲットすることが出来ました。
　さて、肝心の中味ですが、資料としては申し分ありません。パーフェクトです。一族の総勢が高々14輌なので、その14輌全てのプロフィールが写真と共に紹介されています。表紙写真のキクハ45 1 など、前面貫通扉が室内と同色の薄緑色で、これはちょっとしたサプライズですね。
　いずれにしても、これだけ濃い中味のものが\1050ですから、絶対にお値打ち。早々に売り切れても仕方がないかもしれません。　（2006/5/14記）
書名 ひょうご　懐かしの鉄道
　廃線ノスタルジー
著者名 神戸新聞総合出版センター編
　執筆者：曲直部　健朗，谷口　秀雄
出版社 神戸新聞総合出版センター
発行 2005年12月9日　第1刷発行
価格 定価　本体 1500円 + 税
　かつて兵庫県下にあり、今はもう見ることが出来なくなった鉄道を、一つ一つ丹念に拾い集めて1冊の本にまとめたもの。地元神戸新聞記者OBのお二人の共同執筆で、各路線毎に、開通から廃止に至るまでの経緯や廃線跡の現状について、丁寧に解説されています。
　神戸市電，国鉄神戸臨港線，阪急上筒井支線，阪神国道線，淡路鉄道･･･別府鉄道，高砂線，鍛冶屋線，飾磨港線･･･明延の一円電車･･･。知っているところもあれば、本書で初めて知ったところもありますが、それにしても兵庫県下だけで、こんなにもたくさんの路線が廃止されてしまっているとは･･･。今更ながら驚きを禁じえません。　（2006/3/31記）
P.S. 目次を見て数えたら、32路線ありました！
書名 国鉄鋼製客車史　第2篇　上巻
　スハ32形（スハ32600）の一族
　　長形台枠、モニター屋根の客車
著者名 藤本　邦彦
出版社 発行：車両史編さん会
発行 2005年12月1日　発行
価格 本体価格　\9,000
　いつも通りの充実した内容で、期待を裏切られることがありません。
　今回はモニター屋根スハ32とその仲間たち。所収の形式は、スイテ38，マイテ39，スイテ48，マイネ38，マイネフ38，マイロネフ37，マイネロ37，マロネ37，マロネフ37，スハネ30，マロシ37，スイロフ30，スロ32，スロ33，スロ34，スロフ30，スロフ31，スロシ38，スロハ31，スロハフ30，スハ32，スハフ32，スハ33，スハフ35250（スヘフ30），スシ37，スハユ30，スハニ31，マユ31，マニ31の29形式にも上ります。
　既刊の第１編と同様、展望車の椅子や室内調度類など、鉄道黄金時代を偲ぶことができます。
　実際のところ、個人的にはモニタールーフ客車にはあまり馴染みがないものですから、この次に刊行されるであろうスハ32系丸屋根客車以降が楽しみです。　（2005/2/11記）
書名 湯浅啓写真集　能登線日和
　穴水─蛸島　名残りの鉄道情景
著者名 湯浅　啓
出版社 能登印刷出版部
発行 2005年4月1日　発行
価格 定価 = 本体 1600円 + 税
　今年の3月いっぱいで廃止になった、のと鉄道・能登線の最後の一年間を記録した写真集です。これは何判というのでしょうか、縦17cm×横18㎝程のサイズですが、ページをめくると、くっきりと解像度が高く、目が覚めるような色鮮やかな写真が四十数枚。もっと大判でもよかったのではないかと思える程です。私は9年前に一度訪ねたことがあるだけですが、能登恋路号の車窓から眺めた九十九湾の景色が鮮やかに蘇ってきます。
　廣田尚敬さんが巻頭言を寄せられています。　（2005/10/15記）
書名 鉄道ピクトリアル　2005年11月号　（No.768）
著者名 　　　　
出版社 電気車研究会（鉄道図書刊行会）
発行 平成17年11月1日　発行
価格 定価890円（本体価格 848円）
　今回は少し目先が変わりますが、通常の月刊誌である鉄道ピクトリアルをご紹介します。今月（2005年11月号）の【特集】は「遜色急行」。
　聞き慣れない言葉に、おやっと思いました。「○○は△△に対して遜色がない」というのが普通の言い回しですから、何かおかしい。近頃はスカ色のことを遜色と言うようになったんかいな･･･って思ったくらいでした。パラパラとページをめくってみると、な～るほどね、と納得。なかなか興味深い内容です。当事、北海道ではキハ22の急行なんて当たり前に走っていましたし、内地のキハ55系急行と比べても何ら「遜色」は無かったように思いましたけれどね。
　この他にも、「DD51派生機の概要と近況（I）」と題して、DD53の詳細な解説があったり、ミャンマーに渡った名鉄のレールバス（昨年3月まで我が三河線に居た連中）が紹介されていたりと、少なくとも私にとっては随分と内容の濃い一冊でした。　（2005/9/26記）
書名 ミニチュア庭園鉄道３　中公新書ラクレ　170
著者名 森博嗣　著
出版社 中央公論新社
発行 2005年3月10日　発行
価格 定価（本体価格 1200円 + 税）
　この夏の連休中に家族に付き合ってショッピングセンターに行った折り、女性の長～い買い物を待ちあぐねながら本屋さんでふと見つけた本です。中公新書でこんなのを出してるのかぁと不思議に思いました。不勉強にして全く存じ上げなかったのですが、著者の森さんはたいへん有名な方だったようです。国立N大学工学部建築学科の助教授にして、人気のミステリー作家、かつミニチュア庭園鉄道の社長を勤めておられます。
　そしてこの庭園鉄道も、我々のレベルとは比較しようもないくらいたいへん立派なものです。全編をうらやましいなぁという思いで読んだのですが、一つだけ我々も参考にすべき一節があったので、紹介しておきたいと思います。
　『この頃、記事を読んだ方から、「あなたは恵まれている。広い土地があるし、家族の理解もある。」と言われることがある。しかし、10年まえに僕がこれを計画したときには、お金も土地もなかった。─中略─　なにも恵まれてはいない。誰も恵んではくれなかった。「恵まれる」ためには、自分で自分に恵む以外に方法はないのである。─中略─　最もラッキィだったのは、「これは僕には無理だ」と諦めなかったことだと思われる。』
　庭園鉄道だけではなく、著者のウェブサイトもすごいものだということを最後に申し添えておきます。（2005/9/6記）
書名 日本の“珍々”踏切
著者名 フミキリスト11/編　伊藤博康/監修
出版社 東邦出版
発行 2005年2月2日　初版第1刷発行
価格 定価（本体価格 1500円 + 税）
　著者の伊藤さんは@nifty鉄道フォーラムマネジャー（シスオペ）の あの伊藤ひろやすさんです。
　鉄道だけに限らず、道路・飛行場・遊園地など、いろんなところの珍しい踏切がオールカラーで紹介され、へぇ～～度，ほれぼれ度，しみじみ度の３つの尺度で評価されています。いずれもなかなか面白い内容で、鉄道ファンの雑学書として、おおいに教養を高めてくれます。大半の踏切については、所在地などの情報や詳しい解説が付けられていますが、残念ながら、表紙やカットに使われた写真にはそれらが無く、鉄系の人間としては少しもどかしさを感じました。でも、この本、家内や娘に見せたら、とっても面白いと意外な程の大好評。どうやらこの本の真骨頂は、踏切という超こだわりのアイテムと非鉄系の一般人をつなぐ、絶妙な企画にあるようです。
　普段、ご家族から白い目で見られている鉄系のおとうさん、理解を得るためのツールとして、この際、一冊如何でしょう？　　（2005/9/4記）
書名 国鉄鋼製客車史　第1篇　下巻
　オハ31形（オハ44400）の一族
　　魚腹形台枠、モニター屋根の客車
著者名 藤本　邦彦
出版社 発行：車両史編さん会
発行 2005年5月1日　発行予定　⇒　6月1日　発行
価格 本体価格　\8,500　（税込　\8,925）
　今回はレビューではなく、おしらせです。
　いよいよ下巻の発行が間近になってきたようで、予約受付が始まりました。詳しくはこちら ↓
http://homepage2.nifty.com/hensankai/
をご覧下さい。4月15日までに申し込むと、送料分をサービスしてもらえるそうです。　（2005/3/23記）
　発売が6月に延びるようです。（2005/5/8追記）
　印刷間際に新たな写真の発見や提供があり、その関係の誌面構成変更のために約3週間遅れるのだそうです。（2005/5/9追記）
　首を長くして待ちに待った下巻が、6週間遅れで本日届きました。でもどうやら、待っただけの甲斐はあったようです。上巻に引き続いて、戦時改造～連合軍接収～戦災復旧～戦後改造･･･等々、オハ31系ってこんなにバラエティ豊かだったのかと目から鱗。制動装置・暖房装置などの部品もイラスト入りでしっかり解説されており、見飽きることがありません。ひょっとしたら、これは罠なのかも･･･　（2005/6/27追記）
書名 駅前旅館に泊まる
　　　ローカル線の旅　（ちくま文庫）
著者名 大穂　耕一郎
出版社 筑摩書房
発行 2002年10月9日　第1刷発行
価格 定価（本体価格　780円+税）
　著者の大穂さんは1954年生まれで、奇しくも私と同い年。物心ついた時以来の鉄道ファンで、釣りとクマが好きとのことですが、そのあたりの脈絡はよく解りません。(?_?)
　第１章は「駅前旅館の雑学的考察」･･･概論です。宿泊施設の分類に始まり、駅前旅館の立地・宿泊心得・利用者についての考察、そして経営問題・後継者問題で減少しつつある現状を分析しつつ、がんばれとエールを送っています。
　第２章は「駅前旅館　旅日記」･･･各論です。既に廃業したところも含まれていますが、東日本を中心に30以上の駅前旅館が紹介されています。飯田線七久保駅前の丸七旅館、身延線鰍沢口の國本屋旅館、東北本線好摩駅前の高田屋旅館･･･旅心がくすぐられますが、なかなか利用する機会に恵まれないのが残念です。
　実は我が町の裏庭にも駅前旅館がありました。名鉄三河線三河広瀬駅前の広瀬屋です。･･･今年の春に廃線となって半年あまり経ったけれど、その後はどうなってるんだろ？　（2004/12/19記）
書名 阿房列車　（ちくま文庫　内田百閒集成１）
著者名 内田　百閒（ひゃっけん）
出版社 筑摩書房
発行 2003年8月10日　第4刷発行
価格 定価（本体価格　1100円+税）
　夏目漱石門下で、小説家・随筆家の内田百閒先生が鉄道マニアだったというのは有名な話です。考えてみたら、内田百閒の著作って一度も読んだことがなかったよなぁ･･･でも今更ねぇ･･･という気持ちでこの本を手に取りました。
　百閒先生が国鉄職員のヒマラヤ山系氏と、用もないのに汽車に乗って旅に出ます。「阿房（あほう）と云うのは、人の思わくに合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはいない。用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。」･･･何のことはない、我々が普段やっていることそのままじゃありませんか。
　特別阿房列車・区間阿房列車・鹿児島阿房列車・東北本線阿房列車・奥羽本線阿房列車・雪中新潟阿房列車・春光山陽特別阿房列車。･･･私のようにまだ読んだことがないという方は案外多いのではないでしょうか？　読んで得することはないけれど、損をすることもありません。鉄ちゃんの古典、或いは一般教養書という意味で、一読してみられては如何ですか？　（2004/12/18記）
書名 国鉄鋼製客車史　第1篇　上巻
　オハ31形（オハ44400）の一族
　　魚腹形台枠、モニター屋根の客車
著者名 藤本　邦彦
出版社 編集：藤本　邦彦　発行：車両史編さん会
発行 2004年12月1日　初版発行
価格 本体価格　\8,500　（税込　\8,925）
　またまたすごい本が出版されました。写真集と形式図集と明細図集と解説書が一冊になった、オハ31系客車の集大成です。A4版432頁の大冊ながら、これでまだ半分。来春、下巻が発行されるとのことなので、そのボリュームの大きさに圧倒されます。
　所収の形式は、マイネ37，マイネフ37，マロネ３７，マロネフ37，スシ37，オロ30，オロ31，オロハ30，オハ31，オハフ30，オハニ30，スユ30，スユニ30，スニ30，カニ37の15形式。鋼製客車誕生の経緯では、木製客車が絡む重大事故を当時の新聞記事によって紹介するなど、たいへん興味深い内容ですし、もちろん車体構造・設備や台車・台枠まで、微に入り細に亘ってしっかり解説されています。
　当面、うちではオハ31系の製作予定はありませんが、発行元では、読者の支持が得られれば行く行くはスハ32系～24系客車まで、全ての鋼製客車を網羅したいとのことなので、これから先も目の離せないシリーズとなってゆきそうです。　（2004/12/5記）
書名 荷物車・郵便車の世界
　昭和50年代のマニ・オユの記録
（初版の正誤表はホビーショップモアの
ホームページから入手できます。）
著者名 西橋　雅之・石橋　一郎
出版社 編集：クリエイティブモア　発行：（株）モア
発行 平成15年10月25日　初版発行
平成16年2月15日　　改訂版発行
価格 \5,000　（本体　\4,762）
　この本は、昭和50年代の荷物車・郵便車の克明な記録と解説を一冊にまとめたものです。写真だけでなく、種車・配置・輌数・時刻表・編成表等のデータやイラストも駆使して解説されています。初版は数ヶ月で売り切れ、今年2月に改訂版を発行。写真の入れ替えやイラストの充実が図られました。
　まぁそれにしても、私など、よくぞこれだけの資料をまとめて下さったという感謝の念に絶えません。荷物車・郵便車の現役時代、さして関心のないまま過ごしてしまったので、模型製作のために、これはこの上もなく上質な資料。所収の形式は、マニ35，マニ36，マニ37，マニ30，マニ60，マニ61，スユニ60，スユニ61，オユ10，オユ11，オユ12，スユ13，オユ14，スユ15，スユ16，スユ44，スニ40，スニ41，ワキ8000，ワサフ8000と、この時代をほぼ網羅しています。特に様々なタネ車から改造され、多様な形態を持つマニ36は63ページにもわたって紹介されており、圧巻です。私たちモデラーにとっては正に座右の一冊と言えるでしょう。　（2004/11/14記）
書名 SLが輝いた日々　釧網本線　1969─1973
著者名 藤　泰人
出版社 北海道新聞社
発行 2002年10月31日　１刷発行
価格 \1,800＋税
ISBN4-89453-236-0 C0026 \1800E
　著者の藤さんは我々のようないわゆる「鉄チャン｣ではなく、地元北海道を拠点に活躍しているプロ写真家です。昭和40年代後半に釧網本線のSLを撮るようになった経緯、そしてプロ写真家になった経緯について、本書の中に詳しく記されています。その辺がただ写真が載っているだけの写真集とは違って、人生との関わりにおけるリアリティを感じさせてくれるものになっているようです。
　エクタクロームなどKODAKのフィルムで撮影した写真は、いずれもハッとするほど美しく、とても30年以上も前に撮影したものとは思えません。私のような模型制作を楽しむ人間には、主役のC58もさることながら、後ろに従う客車のカンバス屋根のニュアンスや貨車の積荷が、とっても参考になります。　（2004/8/11記）
→　http://www.sip.or.jp/~b_jack/masyuko/taito.htm
書名 村木勝義写真集　二俣線の詩 　
著者名 村木　勝義
出版社 静岡新聞社
発行 2001年6月1日　初版発行
価格 \2,381＋税
ISBN4-7838-9486-8 C0026 \2381E
書名 村木勝義写真集　二俣線の詩　II
著者名 村木　勝義
出版社 静岡新聞社
発行 2003年10月1日　発行
価格 \2,000＋税
ISBN4-7838-9567-8 C0026 \2000E
　たまたま、2年程前に天竜川の模型工房サイトウさんでこの本を見つけて、こりゃいい写真集だと思って衝動買いしましたが、先日、またサイトウさんに立ち寄ったら、「そのII」が置かれているじゃありませんか。当然、これも即決で手に入れてしまいました。
　浜松在住で鉄道マニアを自認する村木さんは、二俣線のC58が廃止になる直前の時期に、オートバイや車を使って精力的に撮影をされたとのこと。モノクロが中心ですが、浜名湖を巡る二俣線西部の昭和40年代の情景が的確に捉えられています。SL時代の旧型客車も参考になりますが、第一集後半には、第三セクター化直前のキハ20の姿も納められており、単線非電化ローカル線の風情が満ち溢れています。　（2004/8/11記）
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書名 蒸気機関車　保津峡〔それから30年〕
　　　　　　　　　小菅一己小写真集　第一集
著者名 小菅　一巳
出版社 自費出版
発行 平成13年（2001）　1月
価格 非売品　（荷造り送料のみ\400）
書名 蒸気機関車　京都府南部編
　　　　　　　　　小菅一己小写真集　第二集
著者名 小菅　一巳
出版社 自費出版
発行 平成14年（2002）　7月
価格 \500
書名 蒸気機関車　京都府北部編
　　　　　　　　　小菅一己小写真集　第三集
著者名 小菅　一巳
出版社 自費出版
発行 平成15年（2003）　11月
価格 \500
　京都トンネルクラブの小菅さんが自費出版されたオールモノクロの写真集です。初めて第一集を拝見したとき、大判カメラで撮影された鮮明な画像に息を呑むとともに、とても懐かしい気持ちがこみ上げてきました。まさに当時、自分自身でも目の当たりにし、シャッターを押した保津峡の風景がそこに満載されていたからです。私の場合はほんの１～２回程度しか訪問できませんでしたが、小菅さんはこんなに多くの作品をモノにされている…うらやましい限りです。
　その後、引き続いて、第二集（京都府南部編＝奈良線・関西本線・片町線）・第三集（京都府北部編＝山陰本線・舞鶴線・宮津線）も出版されました。第一集・第二集・第三集とも、それぞれ通し番号がスタンプしてあります。
　価格は荷造り送料としての\400のみ（第二集・第三集はページ増に伴い\500）で、本体は無料。おまけに、意見・感想を送るための切手まで添付されているので、ほとんどボランティアみたいなものですね。これらの写真集は普通の書店では扱っていないので、現在でも入手可能かどうかわかりませんが、近鉄百貨店京都店内の旭屋書店に販売委託されており、まとまった数が置いてありました。ご希望の方は一度確認してみて下さい。　（2004/8/11記）
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